Interview 今帰仁村×ウェルネスプログラムの魅力
左:横澤さん 中央:小瀧さん 右:内田さん

手つかずの自然とあたたかい村民にふれあいながら
ふと立ち止まり、大切なことに気づく場所。

青く透きとおった海に、緑の生い茂る山々。今帰仁村には今も手つかずの自然や、昔ながらの沖縄らしい景色の中に心癒される素敵なスポットがたくさんあります。そんな歴史と自然が融合した今帰仁村で、時の流れに身を任せながら、日常から離れた体験を行うウェルネスプログラム。今回は実際に参加したお二方と今帰仁村観光協会事務局長の横澤さんに話をお聞きしました。

横澤一美さん

今帰仁村観光協会 
事務局長

横澤 一美さん

今帰仁村出身。高校を卒業後に上京し、専門学校を経てエンジニアとしてIT企業に就職。2020年10月より現職に就任し、観光振興を村や地域の事業者と連携しながら進めている。
小瀧歩さん

アグリマス株式会社 
代表取締役

小瀧 歩さん

大学を卒業後、約20年間にわたり税理士として金融業界で上場支援やM&A、企業再生ビジネスに従事。その後、健康・予防に関する事業や地域を元気にするビジネスを実現するためアグリマス株式会社を創業。
内田さやかさん

心療内科医/産業医/
労働衛生コンサルタント/

ビジョンデザインルーム株式会社 代表

内田 さやかさん

学生時代から社会課題の解決に興味があり、医者の視点から解決できないかと産業医に。今帰仁村ウェルネスプログラムではトレーナーやセラピスト育成講座の講師も担当。

Q1今帰仁ウェルネスプログラムに参加したきっかけは?

―小瀧さん 私は医療・介護の業界なんですが、けっこうメンタル面の不調とか、離職とかが多い業界で、元々こういった健康系のツアーには興味を持っていました。それを知っていた社員が今帰仁ウェルネスプログラムのパンフレットを私の机に置いていったんです。仕事柄、本州の各地域はいろいろと行くんですけど、沖縄の、特に北部の方はとても非日常性がありそうだなと思いまして。社員のメンタルを守るために、まずは自分がモニターとして飛び込んでみよう、内容が良かったら社員も順々に参加してもらおうと思ったのがきっかけです。

―内田さん 私は産業医という立場から、このプログラムのトレーナーさんやセラピストさんを育成する講座に講師役として携わっていました。個人的にもどういう仕上がりになるんだろうと楽しみにしていたので、後日、横澤さんから「ツアーが完成しました」という連絡をいただき、今度はいち参加者として体験させてもらう形になりました。

Q2実際に参加してみた感想はどうでしたか?

―小瀧さん 私が参加した回は総勢8名、1社から1名という構成でした。最初はまったく知らない異業種の人たちと馴染めるかなという不安もあったのですが、朝のプログラムから夜ご飯まで一緒に過ごしているうちにすぐ打ち解けました。やはり全然カルチャーの違う人たちと会って、話して、見栄やプライドを脱ぎ捨てると視界が開けるというか。自分の会社のメンバーだけだと味わえない刺激を受けましたね。

―内田さん 私のときは県内の方、県外の方、大企業の方、フリーランスの方とごちゃ混ぜの回で(笑)。今帰仁の自然の素材を使ったフクギ染めのストールを地元の職人の方々と一緒に作るプログラムがあったんですけど、本当に個性がいろいろでとても面白かったです。職業柄、つい人の表情とか感情の変化を見てしまうのですが、村民の方のあたたかさにふれたこともあってか、みなさんの顔がどんどん柔らかくなっていくのを感じました。プログラムを通じてすごくいいチームビルディングができているなあと思いましたね。

―横澤さん そうですね。実際、金曜から月曜までの3泊4日で参加された県内の管理職の方がいっらっしゃったんですけど、その方もだんだんと柔らかい表情になっていって。最終日の月曜、午前中だけ仕事で少し席を外されたんですが、お昼にニコニコしながら帰ってきて。本来、週初めの月曜はいろいろ確認したり指示を出したりでキリキリしていたそうなんですけど「今日の僕はやさしかったです。」といって笑っていらっしゃいました。その笑顔を見て、こちらもすごく嬉しくなりましたね。

Q3特に印象に残った出来事はありますか?

―小瀧さん これは偶然も重なってのことですけど、朝5時に集合してみんなで古宇利大橋をウォーキングしていたんです。ゆっくり気持ちよく歩きながら、ちょうど橋の真ん中で写真を撮ることになって。そしたら夜明けと共に私たちの前にウミガメが泳いできたんですよ。「やっぱり持ってるねー!」なんて盛り上がったのですが、背中には太陽、目の前には真っ青な海、そこにウミガメが来るなんて大自然のすごさというか、思いがけない発見だっただけに感動とインパクトが大きかったですね。

―内田さん 私はプロジェクトマナティですね。遊びながら浜に打ち上げられてくるゴミを集める活動です。海に生えてるアオサを採ってそのまま食べたり、海流や時期によって流れ着くものが違うという解説をしてもらったり。ゴミ拾いというとやらされてる感じがありそうなんですけど、ここでは楽しませてくれた今帰仁の海が少しでも綺麗になってくれたらいいなと素直な気持ちになれたというか。学びながら自分の普段の行動、環境問題を考えるきっかけになりました。

Q4事業を立ち上げた今帰仁村の思い

―横澤さん 観光客のルートで見た場合、美ら海水族館を見学、その後村内の古宇利大橋のみを観光し、那覇方面に帰って行く。ともすると今帰仁村内は素通りされてしまう感じになります。でも私自身はそこにある集落や何気ない海岸線とか、地域の光を見つけて発信したいという思いが元々ありました。そこに心と体の健康や、環境を含めた社会の健康といった、人としてしっかり見つめるべき要素を取り入れて、本当の意味で大切なものに出会ってもらいたいなと思っていました。ですからお二人のお話をお聞きして、その一つのきっかけになっているのだとしたら嬉しいです。一方で、受け入れる側の我々も、それが一過性のものにならないよう、内田先生のような方にトレーナーやセラピスト育成のお手伝いをしていただきつつ、村民も自覚をもって取り組まなければならないなと思います。

Q5今帰仁ウェルネスプログラムの存在意義

―内田さん このプログラムの魅力の一つにターゲットを選ばないことがあると思います。例えば小瀧さんのような経営者の方や、30歳くらいでキャリアに悩む方にはより有意義なプログラムと言えるかもしれません。世の中がすごいスピードで動いていますけど、仕事にまみれすぎて「この戦いはいつまで続くの?」って思うことあるじゃないですか。でも、誰だって立ち止まる時間があってもいいと思うんですよね。その立ち止まる時間が今帰仁という素晴らしい、あたたかい環境だったとしたら、何かパッとひらめくことがあるような気がします。

―小瀧さん とてもよく分かります。我々のような中小企業ももちろん成長しなければいけないんですけど、何のための成長かというのをもう一回ちゃんと考える必要がある。むやみに成長を追い続けると、必ずどこかで行き詰まりますから。そういった意味でも、社員のみんなにも立ち止まる経験をさせてあげたいですね。その結果が正しい企業成長につながればいいなと思っています。

Q6これからの今帰仁ウェルネスプログラム

―内田さん 私としては立場上、このプログラムでの成果というか評価というか、それを分かりやすく伝える努力もしなければならないと思ってます。一方で、例えば血圧がこれだけ下がりましたとか、数値だけを切り取って安易に成果としたくないという思いもあります。参加された方の表情が柔らかくなったり、気持ちが優しくなったり、普段より気づきが増えたり。ある意味では言語化しにくい価値というものも模索しながら作り上げていきたいですね。

―小瀧さん 私の会社には「より良く生きる」という経営理念があります。人生の最期まで、より良い生き方と向き合う会社でありたいという思いから作りました。そんな私自身、今帰仁村は自分の生き様を変える場所になったと思います。これから訪れる社員にも、何かを自分で感じ取って、何かを変えるきっかけにしてもらえたらなと思います。

―横澤さん 観光というと個人のレジャーのイメージが強いですけど、ウェルネスプログラムについては村、村民と企業の関係性を強くしていかなければと思っています。企業 にとっては人財が資本の一つであり、社員は経営にとって大きな存在です。そういった中で、社員がどうしたら会社を好きになるか、どうすればパフォーマンスを上げる事ができるか、そのプロセスの一助に今帰仁村がなれたら嬉しいなと思います。とにかく、細かいことは分からなくてもいいんです。まずは一度来てみてください(笑)。心と体と社会の健康に、きっと何か気づきがあるはずなので。私たちが全力でお迎えさせていただきます。

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